おすそわけのある暮らし集う、つながる、新所 おすそわけのある暮らし集う、つながる、新所

住人インタビュー
新所で、これからの人とのつながり方を探る。
NPO法人ハピネス湖西 理事長 菅沼泰久さん
新所で、これからの人とのつながり方を探る。
「地元に貢献したい」
その思いが活動の原点
菅沼さんのお仕事を説明するよりも、2016年の湖西市長選に出馬し、湖西をPRするご当地ラップ『湖西に GO! SIGN!』の仕掛け人と言った方がピンと来る人も多いかも知れません。新所で生まれ、新所で育った菅沼さんは大学進学を機に上京。卒業後は、土木のコンサルタント会社に就職し、日本だけでなく、海外の案件に従事。忙しくも充実した毎日を送ります。転機は長女が幼稚園に入るタイミング。子育てするなら東京よりも、自然豊かな新所で家族と一緒に暮らしたいと、40歳でUターン。コンサルタントという仕事で、1年の3分の1を海外出張する菅沼さんにとって、働く拠点を自由に選べたのも決断した理由の1つでした。「慣れてしまえば空港がある名古屋へのアクセスも便利ですし、新所は田舎でも、仕事をしやすい環境が整っていると思いますよ」と話します。
そんな菅沼さんの悩みは、海外の仕事がメインのため、地元にあまり貢献できていないというジレンマ。そこで地元に住む幼稚園からの友人に声をかけ、「NPO法人ハピネス湖西」を立ち上げることにしました。まずは耕作放棄地を花畑にしようと、試験的にひまわりを栽培。2018年4月には、2.2ヘクタールもの広大な耕作放棄地を使い、菜の花祭りを開催。幼稚園児やお年寄りが参加して、草が生え荒れた土地を耕し、種をまき、準備を進めていきました。イベント当日は菜の花が咲き誇る中、地元野菜の販売や日用品バザーなどを開催。新所だけでなく、新居や入出といった近隣からもたくさんの人が訪れ、にぎわいをみせました。
新所の文化を受け継ぎ
理想の暮らしを目指す
「新所は、日本の縮図」だと菅沼さんは分析します。長い歴史と豊かな文化が培った穏やかな暮らしは、悪く言えば、保守的で排他的という側面もあります。「国際協力の仕事の経験を生かして、よその人を受け入れるオープンマインドな雰囲気を作っていきたいですね。お祭りや風景など、代々受け継がれた良いものは残しつつ、心のバリアを取り除いていくような感じでしょうか」。菅沼さんがそう思う一番の理由は、新所の伝統や文化を守る人が減っているという危機感があるから。豊かな文化も継ぐ人がいなければ、いつかはなくなってしまいます。「今、空き家や耕作放棄地が増え続けています。5年、10年したら新所の文化を維持できなくなるかもしれません。そうなってしまってからでは遅い。今が最後のチャンスだと思います。」
 「水辺の風景に癒されたい、都会に近い田舎暮らしをしたい。どんな目的でも構わないので、新所に住んでくれるだけで歓迎です。よくを言えば、コミュニケーションスキルのある若者だと嬉しいですね。」と笑う菅沼さん。大事なのは、観光対策のように一時的に人が増えるのではなく、持続できる暮らしをサポートしていくこと。今後は、子育て世代が安心して働ける場所を作る活動もしていきたいと語ります。「良いところも、悪いところもひっくるめて、新所は世界で一番、素敵な場所だと思っています。ちょっと言い過ぎかな(笑)」。畑を耕せば野菜は育てられるし、地域に入ることでおすそわけいただくこともできる。多様な価値観に寛容であって、新所に住むだけでどこか安心できる暮らし。菅沼さんの活動はまだ始まったばかりです。