おすそわけのある暮らし集う、つながる、新所 おすそわけのある暮らし集う、つながる、新所

住人インタビュー
経営者という視点で新所の価値を伝える
羽立工業株式会社 代表取締役  中村哲也さん
経営者という視点で新所の価値を伝える
かけがえのない自然を
感じられる場所を作る

「健康ライフの創造」をテーマにモノ、サービスを提供する羽立工業株式会社。創業は戦後復興間もない1950(昭和25)年、バドミントンの羽を当時の新素材であったプラスチックを使い一体成型する方法を世界で始めて考案。日本だけでなく、アメリカやヨーロッパなどへも輸出するまでに成長しました。現在ではゲートボールやフィットネス、ノルディック・ウォーキングといった多岐にわたる健康商品を手がけています。


新所で生まれ育った中村さんは、大学進学で東京へ。そのまま東京で就職するも、家業の経営が危うくなり、28歳で請われるようにUターン。なんとか会社も持ち直し、今に続く礎を築きます。地元に帰ってきて魅力だと感じたのは、浜名湖の雄大な景色と田園風景が残る、新所のおおらかな自然。女河八幡宮のすぐ横にあり、浜名湖を望む本社の2階は商品企画や開発をするスペース。「ここはストレスも少ないし、クリエイティブな仕事をするにはベストな環境ですよ」と笑う中村さん。


まだ妄想ですが、と話してくれたのが、この景色を生かした「浜名湖テラス」を作ること。「例えば、女河八幡宮で結婚式を挙げ、浜名湖テラスで眺望を生かしたパーティを楽しむ。長男がスコットランドでお酒の勉強をしているので、地ビールを提供してもいいかもしれませんね」。新所の魅力を発信したいという思いから始まったアイデアですが、点ではなく、線にし、面にしていくことが重要だと指摘。「新所が一体となって行動し、この田舎の風景を伝えていくことが、新所の価値を高めることにつながるんです」。

10年後、20年後の
新所の姿を想い描く

中村さんはUターン組ですが、進学や就職で地元を離れた若者は、ほとんど帰ってくることはないそう。あと15年もたてば新所の過疎化はさらに進み、今ある家の半数以上が空き屋になるのではと危惧しています。さらに少子化問題は、企業の労働力確保にも深刻な影響を与えると予想されます。大企業や大きな工場が好待遇で人材を確保すれば、地方の中小企業が人手不足になることは必至。それを解決するヒントとして、外国人技能実習生の受け入れがあるではと中村さんは考えます。新所がある湖西市は自動車関連企業や工場も多く、外国人の技能実習生が多いエリア。羽立工業でも9人の実習生を受け入れています。


今、中村さんは夏目さんとともに、新所の空き屋を外国人実習生の住まいとして利用できないかと検討しています。1人2万円の家賃で5人が住むとしたら、月10万円で空き屋を維持管理できる計算。庭もあり、住み手にとってもアパートより快適な暮らしを得ることができるのも魅力です。さらに、日本語学校を設け実習生にビジネス日本語や、新所の生活ルールを教えるとともに、実習生の就職先として地元企業を紹介することで、労働力不足の解消にもつなげたいと考えます。いずれは、町内会に入ってもらい、祭りなどに参加したり、休日は有休耕作地で農作業をしたり、新所の暮らしを楽しんでもらいたいと語ります。わくわくするようなビジョンを描き、事業を継続させ、後継者へ引き継ぐ仕組みを作るという経営者ならではの視点。それが、新所を持続可能なまちへと変える一歩なのかもしれません。